『空の境界』に行ってきました

空の境界』の「俯瞰風景」に行ってきました。
夜の部は全席指定だけど、朝の部は自由席。こっちの方が、好みである。
開始は10時半。9時半に劇場に到着すると、外には行列がない。
と、もう中に入れていた。早いなぁ。しまった。もっと早く来るべきであったか。

結構、席は埋まっていたが、間にはまだ空きも多い。
ちょっと、考える。
明らかにいい席がまだ空いているにもかかわらず、一定の間隔を置いて、皆、座っている。端の人も、本当は真ん中に座りたいんじゃないかな。でも、人の隣りは座れない。そういう客層なのかもしれない。
あと、皆、一時間の待ち時間で携帯で何かしていたり、携帯ゲーム機をやっているんだけど、ゲーム機が皆、PSPだ。携帯ゲーム機の割合からして、これだけPSPが多くなるっていうのが、面白いな。これは、何か、相関関係があるのかな?

で、一番前の真ん中に座る。

一時間の待ちののち、映画、始まり。

いやぁ、見事でした。演出、作画とも、完璧。
未読の原作、どのようにアレンジされたかは読んだ上での楽しみなのですが、原作を読んだ人も納得ということだったので、非常に巧みに作られているのでしょうね。
特に、本作では、背景の力というものを思い知らされました。

しかし、このアニメ、テレビの画面では、その印象が半減するようなアニメですね。例えば、ビデオだけで、本作を観て、評価が低かったとしたら、「それは、実物を観ていないからだよ」と言うしかないような。絵画の実物と印刷物のような差が出てしまうでしょう。それぐらいの差があると思いますね。
ロングに引いた絵が、非常に効果的です。まさに、映画の画面でこそ効果がある作品となっています。最近はそのような作品が増えていますが、本作ほど、大画面であることを効果的に使っているものは、そんなにないかもしれません。
ていうのは、結局、テレビの場合、どうしても小さな画面の中でのレイアウトって考えてしまうので、あまり小さなものが動くのでは、意味がないと思っちゃうんですよね。ジブリアニメだって、あまり大画面であるということを、テレビと別物として、全体、効果的に使っていないですからね。
そう言えば、東映の「マジンガーZデビルマン」の時、画面いっぱい使われていて驚いたことがあります。テレビとあまりに違ったので。東映動画には、劇場映画の伝統がきちんと受け継がれていたということでしょう。おっと、話が逸れた。
逸れたついでに、「空の境界」での、ロングに引いたカットを観ていると、まさに、今のデジタルペイントや最後の修正がいかにそれを可能としているかをつくづく思い知らされますね。結局、小さな絵が動くカットを導入できなかったのは、作画の用紙にしても、彩色にしても、小さなちまちま動くようなカットを描けなかったからですから。漫画でもそうですが、今なら、どんな小さな絵でも拡大して緻密に作画することができます。漫画を描く立場から考えると、地獄極楽なのですが。

とにかく、まさに「俯瞰」が効果的に使われた作品でした。

エンドタイトルで誰も立つ人、なし。
上映中も、私語一つありませんでしたし、観ている人のマナーはきわめて良かったですね。

これから、全7作。全部、劇場で観なければと思いました。今年の映画の見納めかな。