おかしな人

始動と書きながら三日空いた。まあ、だんだん調子も戻るか。

電車の中でのこと。
わりと空いている夜の上り電車。部活帰りなのか、同じようなユニフォームを着た小学生が10人近く乗ってきた。
騒がしいが、まあ、子供たちの集団なので仕方がない。まわりに迷惑というほどではなかった。
と、一人の老人〔と言っても60代ぐらいか〕が、その小学生の集団に近寄っていき、
「おい、いじめとかはいけないことだぞ」
と説教し始めた。こちらでは、陰になって見えなかったけど、そういう状況だったのかな。目の前だったんだけど。
このようにきちんと叱ることができる大人がいるというのは、いいなと思った。
と、どうも、そこから状況が違ってくる。
「いじめはいけないことだ。子供の時はまあ、いろいろあるだろうけどな。おじさんの子供の時にはな・・・」
と、その老人の昔話が延々と始まったのである。
最初は、神妙な顔でしんと静まりかえっていた子供たちも、苦笑し始めた。
そもそも、いじめ自体があったのかどうか。
老人の思い出話はやがて何度もループし始める。
ぼけているのか、酔っぱらいなのか。
子供たちは、これは付き合ってられないと、乗換駅に到着したのを幸いと、ほとんどいっせいに降りてしまった。
「おい、みんな降りちゃうのか。そんな逃げないでもいいだろう」
やっぱり、かなり、おかしい。
老人は、その後、自分の席に戻ったあとも、話をしている。
横の人と話しているのかと思ったら、その人も降りてしまった。
ああ、独り言なのか。これは、先ほどの小学生たち、いい迷惑だったなぁ。

駅で下車。駅前の西友に。
丁度、閉店1時間前なので、お弁当が半額になるタイミングである。
店員のおばちゃんが半額シールを貼っていると、老人〔70歳は超えてるかな〕が
メタミドホスとかは入っていないよな。このお弁当は」
「えっ?」
「いや、大丈夫だな。ここはきちんと手作りしているから。ジクロルボスとかあるだろう。あれも危ないんだよな」
と、老人、店員のおばちゃんが作業している横で延々と毒入り餃子の話題を語り続ける。
そもそも弁当を皆が手に取ろうとしているところで、えらく迷惑な話である。作業の邪魔になるし。
老人、ひとしきり話したあと、むこうに。
やれやれという顔の、店員のおばちゃんに、
「最近、変な人、増えましたねぇ」と言うと、
「ほんとにねぇ・・・なんか、変な人、あちこちいるよねぇ」
と、ため息である。

電車であちこちしていると、毎日、一人ぐらいはおかしな人に出会うが、二人連続はめずらしい。
ほんと、増えているのかもしれない。年齢と関係なく。