「皇室典範に関する有識者会議」の報告書に関して

皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大学長)で、今月24日、女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」を認め、皇位継承順位は男女を問わない天皇直系の第一子を優先することを柱とした最終報告書を首相に提出した。
結論から述べると、私は、この皇室典範改正案に反対である。
理由は単純。これは、天皇制ではないからである。
天皇制は、男系の血統を万世一系のものとして受け継いできたものである。
女系天皇を認めるということは、別な男性系統からにずれるということを意味する。
単純に言えば、Aさんがその時の天皇(女性)と結婚すれば、その間に生まれた子供が次の天皇になり、Aさんは天皇の父親となり、Aさんの父親は天皇の祖父となり、Aさんの祖先は、のちに続く天皇家の祖先となる。
これは、もう天皇制ではない。別物である。
第一子優先もおかしい。これにより、長女が天皇になる割合が高くなり、それ故、その系統がどんどんずれてゆく状況を生む。
回避する皇室典範改正案は、ただ一つ。「女性天皇を認める」それだけでよい。これは、歴史上何度もあったことだから。
ただし、その女性天皇から生まれた子供は天皇とはなれない(男系がずれるので)。
次の天皇は、男系の別な系統で引き継いでいけばいい。

このような意見に対しては、当然、批判反論が多いだろう。
「なぜ、男性の系統だけを大事にして、女性の系統ではダメなのか」
「第一子優先でなく男子優先は、女性差別である」などなど

私もそう思う。
天皇制とは、少なくとも今の時代の認識から考えれば、歪んだ制度なのである。
そして、歪んだ制度として歴史上長く成り立ってきたわけで、その大原則の部分(男系を皇祖から受け継ぐ)を変えたらそれはすでに天皇制ではない。

その歪んだ制度を棄てて、新たな歪んだ制度を始める必要があるのだろうか。
そう、新たな天皇制ももちろん歪んでいる。
「第一子優先という歪み」
「血統という歪み」
日本国憲法においては、天皇は通常の人権が適用される埒外の存在であるが、この存在は、同時に、他の国民の平等権を侵害する唯一の存在である。
天皇制を棄て新たな天皇制を始めるのか、もしくは、天皇制という明らかに歪んだ制度を廃して新たな一歩を踏み出すのか、そのような時期に来ているのだと、私は思う。
もちろん、私は後者を選ぶべきだと思う。
日本人は、もういい加減、親離れをすべきときなのだから。