緑提灯に騙されるな

緑提灯を掲げる店が増えているそうである。
この緑提灯とは緑提灯事務局というところが行っている「国産品を応援しよう」というキャンペーンで、「地場産品応援の店」ということを表しているそうである。
星が提灯につき、星一つは50パーセント以上国産品を使っていて、以上星一つごとに60、70、80、90パーセント以上と国産品使用の割合が増えていくとのこと。
ニュースでは、この流れをとてもいいことのように紹介している。応援したいというように。
私は、バカみたいな話だと思った。
そして、このような事柄をきちんと検証せずに、最近の中国産冷凍食品や食品偽装などの対極にあるプラス面の現象として取り上げるというのは、メディアとして最低の行いであると思う。食品偽装と同罪であろう。共謀罪といってよい。
なぜか。
この緑提灯キャンペーンは、自己申告なのである。星の数に関しても。事務局は、その実態を検証することはできない。ちなみに、『著しく申告違反をした店主は、「反省」と書いた鉢巻きを巻いたり、丸坊主にするなどして深く反省すること』だそうであるが、このような事柄に対して、このようなお遊びの罰則を提示するだけというところに、このキャンペーンの問題点がある。
元々、北海道のあるお店から始まり、そこから少しずつ広がっていった運動のようである。活動もボランティアで行われており、緑提灯を登録するにあたっても、別に登録料とかが生じるわけではない。そう、その底に流れているのは、善意であろう。
しかし、善意も、思慮を伴わなければ、悪意に利用される。
現在、日本の食品表示は、無法地帯である。法はザル法で、そのザル法に違反しても罰則は軽く、「騙した者勝ち」と言ってよい。同じ商品を売るのであれば、できるだけブランド力のある国産のラベルをつけ、そして、それを安く売れば、お店はもうかり、お客も安く安心な国産ブランド品を食べられたという満足感(実は百パーセント中国産だったとしても)を得ることができる。共に満足、めでたい話である。
緑提灯は、それをさらに補強する。「安く安心な国産ブランド品を食べられたという満足感」にプラスして「緑提灯」というお墨付きまで付くのである。満足感も倍増であろう。
メディアはこれまで多くの食品偽装を取り上げてきた。例えば、「関サバ」と銘打ち都内で売られているサバのほとんどが、関サバとは全く関係ない、他の地域で取れたサバであることとか。また、国内で生産されたと言っても、それは加工とかパッケージングの段階であり、その原料はほとんどが輸入品だったりとか。
そのような状況を一方で報道しておいて、そのもう一方で、それが、何も検証がされない体制であるにもかかわらず、単に国産食材であることへのお墨付きや幻想を与えるだけの「緑提灯」の増加に対して、それを問題点のある現象、システムとし捉えるのではなく、食品偽装問題の中での一服の清涼剤のように捉えるというのは、あまりに、軽薄なことなのではなかろうか。