TBS 時事放談

TBS土曜日のニュース番組で、よく、「時事放談(同局の翌日曜日に放送される番組)の収録で、誰々が・・・を語りました」というニュースが流される。今日も、お昼のJNNニュースで、「野中元幹事長が石破防衛大臣は辞任すべきだと思うと時事放談の収録で語った」と報道していた。
しかし、これは、非常に問題がある報道だと思う。
明日放送予定の時事放談という番組は、その前日にはもちろんまだ放送されていない番組である。放送されていない番組は、まだこの世に存在していない番組である。放送されてから初めてその番組はオープンとなるのだから。

例えば、対談する方は、その対談が放送される日曜日に、その語った内容が公表されることを前提として語っているかもしれない。
また、土曜日から日曜日で何か状況が変わり、その時事放談の内容自体が伝えるべきでない情報となるかもしれない。そうして未放映となると、その伝えられなかった情報、つまりこの世に存在しない情報のある部分だけが独立して存在してしまうという、虚構の情報をメディアが生み出すということとなる。
そして、最大の問題は、番組において話全体の文脈の中で語られた言葉が、文脈と離れた部分だけで一人歩きしてしまう可能性があるということである。もちろん、ニュースで情報を伝える場合、全ての情報を伝えることはできない。どうしてもトピックとなる言葉だけを取り出すこととなり、その言葉だけが一人歩きしてしまう危険性もあろうが、先に、部分となる言葉だけを取り出して報道してしまうということは、その危険性を報道自らが生み出してしまうということとなる。

上記のような危険性は、報道に携わる者なら、当たり前のこととして認識しておかねばならないことである。一度のことではなく、毎週のように、明日放送予定の時事放談でこのようなことが語られたというニュースを流しているところをみると、TBSには、この当たり前の認識を持った人が誰もいないと思われる。