魚を食べてはいけない?・・・インターネットの掲示板に「小学校で小女子を焼き殺す」などと書き込んだとして、威力業務妨害で逮捕

正直、最初、面白いニュースだと思った。
2ちゃんねるでどのような反応になったかわからないが、なるほど、絶妙な皮肉である。しかし、威力妨害で逮捕とのこと。

この書き込みをした容疑者は、
「明日午前11時に・・・小学校で小女子を焼き殺す」
「おいしくいただいちゃいます」
と書き込んだそうである。
そして、逮捕された際に「小女子は『コウナゴ』と読み小魚の意味で、殺害予告には当たらない」と否認しているとのこと。
問題は、「小学校に特定の時間に入り込み魚を焼いて食べる」と書き込んだ場合、それが威力業務妨害になるかどうかということだ。

例えば、私が同じように、
「明日午前11時に・・・小学校で秋刀魚を焼き殺す」「おいしくいただいちゃいます」と書き込んだ場合、それは罪になるのだろうか。

なるほど、もし逮捕しないで実際にその小学校で犯罪が起こった場合、今の社会ではそのチェックの甘さが糾弾されることになるかもしれない。しかし、そのようなところまでチェックされるような社会で本当にいいのだろうか。どう考えても、今の過激な反応を逆手にとったギャグである。それを、威力業務妨害で逮捕というのは、単に「もし責任問題になったら困る」ということでの、司直の過剰な反応にすぎない。

そもそも、ネットの世界をどれぐらい「公」の場と見なすかということである。
例えば、飲み屋で友人たちと飲んでいて「大阪府知事なんてぶっ殺しちまえばいいんだ」と言ったら、それは罪にならないだろう。しかし、独り言ではない。では、飲み屋の客全員に聞こえるように叫んだらどうだろうか。それは、犯罪になるのだろうか。2ちゃんねるでは、書き込みに対する非難中傷罵詈雑言あふれている。それらが公の場で面と向かって言われたなら、それは、名誉毀損とか侮辱罪になるものなのかもしれない。しかし、実際、それが公然と行われている。この公然の「公」というのが、どの範囲と認識されているかというとことである。

以前、「橋下知事を暗殺する会」「殺害しよう」とスレを立てた人が逮捕されたが、あの逮捕も疑問に思った。
「暗殺する会」「殺害しよう」は、まだ暗殺しているわけではない。また、特定の場所や日時を限定して行動を起こすということで、公人である橋下知事の行動を妨げているわけでもない(スレを全部読んでいるわけではないので、そういうものがあれば教えてください)。未来において行動に起こす可能性があるかもしれないが、その前には白紙の状態である。

思想信条の自由とは、個人が何を考えていてもいいということである。
ただし、自由権には「公共の福祉に反しない限り」と但し書きがつくのはご存じの通りで、この公共の福祉を適用するにおいては、どこまでが公共の福祉という範囲かということが問題となる。
私は、テロ自体は否定するが、テロを起こそうという意識自体が否定されるとは思わない。起こったテロは厳しく断罪されるべきだろうし、テロが具体的に計画されている場合は未然に防ぐべきであろう。しかし、テロを起こしたいという意識や抽象的なレベルでの計画までが取り締まられるとなると、それは別な問題である。

そういうレベルまで取り締まれば、社会は、至極、平安なものとなるであろう。
戦前の日本や、今の北朝鮮のように。