読書離れ・活字離れ・本離れ

子供、若者の読書離れ・活字離れという言葉は、いまだによく聞く。

しかし、子供たちに実際接していて特にここ数年顕著に感じるのは、子供たちが非常に本をよく読むようになってきているということである。それも、親から押しつけられてとか読まなければいけないからではない。娯楽として当たり前のように本と楽しんで接している子供たちが増えている。

しかし、活字離れという言葉を唱える人は多い。そもそも、唱えている世代が、活字離れをしてきた世代なので、読書をしてきた層はアイデンティティを支えるために、していなかった層はコンプレックスの裏返しとして、「若者の活字離れ」を唱える。しかし、今は、時代が大きく変化してきている。

そもそも、ここ数十年、読書とは、「行」であった。
「本をもっと読みなさい」は、親が子供に言う小言の一つであり、読書とは楽しみではなく、義務の一つと化していた。そもそも、普段から読書を多くする人は、本というのが人から課せられて読むものではないということを知っており、「本を読みなさい」なんてバカな言葉は発しない。自分が読まないことの裏返しの言葉であり、それが、読書離れの連鎖を生んだ。
しかし、その連鎖ももう終わろうとしている。

「本をもっと読みなさい」と言われて育った本を読まない世代が親となり、そもそも、子供に「本をもっと読みなさい」という事を言うこと自体が、死語と化してしまった。
そう・・・親やその上の世代が活字離れをしている中、子供たちが見つけた新たな楽しみ、それが読書であった。

今、「活字離れ」という言葉など全く知らない世代が、読書の面白さを知り、本と戯れている。
中高年の活字離れは進んでいる。
50代以上の過半数が全く読書していないという一方で、子供たちは、活字の魅力に気づきその輪は広がっている。

数十年後には、「昔は、本をもっと読みなさいって親が子供を叱っていたことがあったんだよ」というのが、笑い話として語られるようになるかもしれない。
それは、読書にとって、非常に健全な状態であると思う。随分、おかしな時代が続いてきたのだけれど・・・